子供の病気や健康大百科

【原因】

先天性の心奇形です。
左右の心室を分けている隔壁に穴があいているものをいいます。

穴のあいている場所や穴の大きさは人によってさまざまです。
先天性心疾患の中で最も多い病気で、日本では先天性心疾患の約６割を占めるといわれています。

【症状】

心室の中隔にあいている穴から、左心室から右心室へと血液が流れ込みます。 そのため、心雑音が聞こえます。

また､肺へ向かう血液の量が多くなり、肺と心臓両方に負担がかかる事になります。

穴が大きい場合は、呼吸が速い、母乳やミルクを飲む時に苦しくなって十分な量を飲めず、 体重が増えない、汗をよくかく､等の症状も見られます。

また、泣き声が弱かったりする場合もあります。

【治療】

穴が小さい場合には成長するにつれて自然に穴が閉じる場合もあります。
いずれにしても、定期的に心臓の検査をして様子を見ます。

呼吸が早いなど、心雑音以外に症状がある場合は、心不全を予防する薬を内服します。
穴が大きくて、右心室に流れ込む血液の量が多いときは肺に負担がかかりますので手術の対象になります。

また、心不全を起こすような場合にも手術が選択されます。
手術は2歳前くらいに行いますが、穴が１センチを超えていて、 症状がひどい場合には生後２～３カ月でも手術を行います。

肺への負担が大きい場合、時間が経つと肺高血圧といって肺の血管が痛んだ状態になり、場合によっては手術が出来ないようになる場合があります。

また、穴が大動脈弁のすぐ下にあるときは弁が変形したり、閉鎖不全を起こす恐れがありますので手術の対象になります。

手術は人工心肺を用いて行い､「パッチ」と呼ばれる人工の当て布を左右の心室の間に当てて、孔をふさぐという手術を行います。

孔をふさいだ後は、周りの筋肉が成長するので患者さんが成長してもパッチの取替えをする必要がありません。

内科的治療としては、ジゴキシンなどの強心剤、ラシックス、アルダクトンという利尿剤が使われる事が一般的です。

手術後の予後は一般的に非常に良好です。通常、他の子供たちと同様に生活していけます。